液化石油ガス設備士とは
液化石油ガス設備士とは、高圧ガス関連の国家資格です。液化石油ガスはLPガスの正式名称(Liquefied Petroleum Gas)であり、家庭で用いられているものは「プロパンガス」とも呼ばれます。液化石油ガス設備士の資格取得後は、配管工事などの設備工事に従事することが可能です。
■液化石油ガス設備士の概要
液化石油ガス設備士は、次の7つの業務を担うことができます。
1.硬質管の採寸
2.硬質管のねじ切り
3.硬質管同士の接続や取り外し
4.硬質管の切断
5.ガス栓やバルブ、ガスメーターや調整器、気化装置の接続や取り外し
6.地中に埋設された硬質管への腐食を防ぐための対処
7.気密試験
これらの作業を災害を招かぬように、安全に完遂させるのが液化石油ガス設備士です。液化石油ガス設備工事の際には、液化石油ガス設備士免状の携帯が義務付けられています。
■液化石油ガス設備士の資格取得のメリット
液化石油ガス設備士の資格取得のメリットは、家庭用や商業施設用などのLPガスの設備工事関連の仕事に就けることです。就職した企業によっては、資格手当が支給されるケースもあります。
水道や電気と並び、ガスは日常生活を営むために必要不可欠なインフラです。仕事そのものがなくなることは考えにくいため、中長期的に安定した収入が見込めるかと思われます。
■液化石油ガス設備士の試験内容
液化石油ガス設備士の試験は、筆記試験と技能試験に分かれています。受験資格は設けられていないため、年齢や学歴に関係なく希望者であれば受験することが可能です。合格基準は、筆記試験および技能試験それぞれの正解率60%以上となっています。
■液化石油ガス設備士「筆記試験」
種別 | 試験時間など | 試験内容 |
法令 | 60分
択一式(15問) |
供給設備および消費設備の保安に関する法令および関係法令 |
配管理論 | 90分
択一式(20問) |
・液化石油ガスに関する基礎知識
・液化石油ガス設備工事に必要な機械、器具または材料に関する知識 ・配管理論、配管設計および燃焼理論 ・液化石油ガス設備工事の施工方法 ・供給設備および消費設備の検査の方法 |
■液化石油ガス設備士「技能試験」
液化石油ガス設備士の筆記試験に合格した方のみ、技能試験に進むことができます。
試験時間 | 試験内容 |
電動ねじ切り機使用:60分
手動ねじ切り機使用:75分 |
・配管用材料および工具の使用
・硬質管の加工および接続 ・器具等の取り付け ・気密試験の実施 ・漏えい試験の実施 |
■液化石油ガス設備士試験の日程
液化石油ガス設備士試験の日程(2021年)は次のとおりです。
液化石油ガス設備士「筆記試験」 2021年11月14日
液化石油ガス設備士「技能試験」 2021年12月5日
※山形県、富山県、兵庫県は2021年12月6日
技能試験合格発表:2022年1月5日
2022年の試験日程については、夏頃に発表されることが予想されます。
■液化石油ガス設備士資格の難易度
液化石油ガス設備士資格の難易度の目安として、近年の受験者数と合格者数や合格率を以下の表にまとめてみました。
試験実施年 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2016年 | 1,867名 | 845名 | 45.0% |
2017年 | 1,715名 | 626名 | 36.5% |
2018年 | 1,536名 | 578名 | 37.6% |
2019年 | 1,505名 | 557名 | 37.0% |
2020年 | 1,511名 | 455名 | 30.1% |
受験者数10名のうち、3名から4名が合格していることがわかります。
■液化石油ガス設備士講習
液化石油ガス設備士は試験だけでなく、講習を受けることで資格取得が可能です。液化石油ガス設備士講習は年に4回、日本全国47ヶ所にて開催されるため、試験日を待つことなく資格を取得したい方に向いています。
■液化石油ガス設備士講習の種類
液化石油ガス設備士講習は、講習ごとに受講対象者が異なります。
受講する前に、ご自身がどのカテゴリに属するかを確認しておきましょう。
講習の種類 | 受講対象者 |
第一講習 | ・未経験者
・液化石油ガス設備士の資格を持っていない方 |
第二講習 | ・LPガス設備工事1年以上の経験者 |
第三講習 | ・建設配管技能士などの関連資格を持っている方 |
■液化石油ガス設備士講習内容と検定試験
液化石油ガス設備士講習の受講後に検定試験を受けることになります。筆記試験の合格者のみ、技能試験に臨むことが可能です。
液化石油ガス設備士講習 | 内容 |
法令(19時間) | ・法令
・LPガスの基礎 ・配管理論 ・施工方法 ・検査の方法 |
実習(2時間) | ・技能試験に関連する実習 |
液化石油ガス設備士検定試験 | 内容 |
筆記試験 | ・法令
・配管理論など |
技能試験
※筆記試験の合格者が対象 |
・配管工事の実技 |
■液化石油ガス設備士講習の受講受験料
2021年10月1日に改定された、液化石油ガス設備士講習の受講受験料です。
筆記試験:15,800円(非課税)/技能試験:19,700円(非課税)
液化石油ガス設備士講習の受講の際には、次のテキスト(有料)を用意する必要があります。
・液化石油ガス設備施工マニュアル/液化石油ガス法規集など
受講前にどのテキストが必要なのか?を尋ねておくと良いでしょう。
■まとめ
ここまで、液化石油ガス設備士について紹介してきました。液化石油ガス設備士の資格を取得することで、LPガス関連企業への就職の道が拓けます。設備工事を行う方だけでなく、販売に携わる方にとっても資格手当などのメリットが得られる可能性があるでしょう。