高圧ガス製造保安責任者とは
高圧ガス関連の国家資格は高圧ガスや液化石油ガスの事故・災害を防ぐために設けられました。大きく以下の4種類に分かれ、高圧ガス製造保安責任者はその中のひとつです。
●高圧ガス製造保安責任者
●高圧ガス販売主任者
●液化石油ガス設備士
●LPガス関連の資格
この記事では「高圧ガス製造保安責任者」について解説していきます。
■高圧ガス製造保安責任者の概要
高圧ガス保安法に基づく国家資格です。試験科目は「法令」、「保安管理技術」、「学識」の3科目で、誰でも受験することができます。
高圧ガス製造保安責任者の免状を取得すると、高圧ガス保安法が定める責任者の職に就くことが可能です。
■高圧ガス製造保安責任者の種類を知ろう
扱える高圧ガスの種類、事業所の規模、試験内容の違いなどによって、以下の9種類に分類されます。
①甲種化学責任者
石油化学コンビナートなどの高圧ガス製造事業所で、製造にかかわる保安の統括的な業務を行うことができます。下の表に示すように、製造施設の保安に関する業務に就くことが可能です。
②甲種機械責任者
業務については①甲種化学責任者と同じです。違いは試験内容が機械関係に重点が置かれていることです。機械関係が得意な人はこちらを受験するとよいでしょう。
③乙種化学責任者
石油化学コンビナートなどの高圧ガス製造事業所で、製造にかかわる保安の統括的または実務的な業務を行うことができます。①との違いは処理能力が100万㎡/日以上の事業所では「保安技術管理者」の業務に就けないことです。
④乙種機械責任者
業務については③乙種科学責任者と同じです。違いは試験内容が機械関連に重点がおかれていることです。機械関係が得意な人はこちらを受験するとよいでしょう。
⑤丙種化学(液化石油ガス)責任者
LPガス充てん事業所、LPガススタンドなどのLPガス製造事業所で、LPガスの製造にかかわる保安の統括的または実務的な業務を行うことができます。
⑥丙種化学(特別試験科目)責任者
石油科学コンビナートなどの製造事業所、充てん事業所、天然ガススタンドなどで、製造にかかわる実務的な業務を行うことができます。保安技術管理者、保安主任者、販売主任者の業務に就くには上記の①~⑤の資格のいずれかが必要です。
⑦第一種冷凍機械責任者/⑧第二種冷凍機械責任者/⑨第三種冷凍機械責任者
冷凍空調機器を備えている施設や、冷凍倉庫、工場などで製造(冷凍)にかかわる保安の実務を行うことが可能です。⑦は設備の規模に制限はありません。⑧は冷凍能力が300トン/日未満の施設のみ、⑨は冷凍能力が100トン/日未満の施設のみとなります。
■高圧ガス保安法の法定責任者と選任できる免状の種類
①~⑥の免状によってどの法定責任者に就くことができるのかを表にまとめました。
保安技術管理者 | 保安主任者 | 保安係員 | 販売主任者 | 移動監視者 | 取扱主任者 | 容器検査主任者 | |
① | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
② | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
③ | 〇※1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
④ | 〇※1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
⑤ | 〇※2 | 〇※3 | 〇※3 | 〇※3 | 〇 | 〇 | 〇 |
⑥ | × | × | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
〇:選任可、×:選任不可
※1:処理能力が100万㎥/日未満の事業所に限り選任できる
※2:処理能力が100万㎥/日未満のLPガス事業所に限り選任できる
※3:LPガスに限り選任できる。一般高圧ガスの保安係員への選任については都道府県に確認が必要。
出展:高圧ガス保安協会
https://www.khk.or.jp/qualification/national_qualification/examination/examination_range.html
■事前に講習を受けると一部科目を免除
高圧ガス保安協会が行う講習を受講し検定に合格した場合は、試験科目の「保安管理技術」と「学識」が免除され、「法令」のみの受験で資格を取ることが可能です。講習費用など詳細は以下のサイトをご覧ください。
出展:高圧ガス保安協会
https://www.khk.or.jp/qualification/national_qualification/examination/examination_exemption.html
■まとめ
高圧ガス保安責任者は高圧ガスの設備の保安を担う需要の高い職種です。高圧ガスの種類や業務内容、試験内容によって9種類に分かれていますので、自分に向いている資格を選びましょう。